郵便局の幽霊
郵便局の深夜バイトをやってたときの話。
入ってすぐに地下のトイレと倉庫に幽霊が出ると教えられた。
トイレには白い服の男、倉庫には赤い顔の女が出てバイトの人達全員もれなく見てるらしい。
正直言って当時は霊とかまったく信じてなかったし、みんな軽い感じで言ってたから俺もハイハイって感じで地下のチルド担当の時にそのトイレで用を足してた。
何度目かのチルド担当の時にまたそのトイレで小をしてる時に、もう一人のチルド担当の先輩が「荷物きたから地下に下ろすぞ~。」と俺を呼びにトイレに来た。
トイレに入ると先輩が「あ~いるいる。ほら、そこにいるよ。」とトイレの奥のほうを指さして言った。
先輩が指さした方を見ると・・・いた。上下白い服をきた男の人がいた。
なんかちょっとぼやけた感じに見える。
小をしてる最中に幽霊に遭遇する恐怖ってわかる?
小が止まらないからその場から動くわけにはいかないし
もうパニック状態。
「ちょ、ちょっと、ちょっと、ちょっと、ちょっと待って。うわぁぁぁ。先輩!先輩!!。先輩助けて~!!!。」
先輩は至って冷静に「大丈夫だよ。なにもしてこないから。」
いや大丈夫じゃねーよ!
「うわぁぁぁぁぁぁ。とまらね~。止まらね~よ先輩、とまらね~よ。」
先輩は至って冷静に「いや俺に言われてもさ・・・困るよ。」
やっと小を出し終わるとダッシュでトイレを出た。
先輩は至って冷静に「手、洗わないの?」
洗わねーよ。本当に出るなら本当に出るって言ってくれよ。
いや、まぁ言ってたんだけどさ。言い方が軽すぎるだろ。
なんでみんな幽霊を怖がらないのか?
それには理由がある。
この幽霊は10年以上前からいるらしく、ただボーっと立ってるだけで何かしてくるどころか一歩も動かないという。
倉庫の赤い顔の女もだいたい同じ時期に出るようになったらしい。
みんな10年以上この幽霊を見続けているため、全く怖がらない。
つまり俺以外のほぼ全員ここで10年以上バイトをしている。
中には30年以上このバイト一筋という長老もいる。
就職?なにそれ?うまいの??こういう人だらけ。
それはそれで怖いけど、本当にみんな楽しそうに生きてて俺も今までで一番楽しい職場だった。
倉庫には一度も入らなかったから、結局赤い顔の女には一度も会わなかったけど、赤い顔の女はかなり怖いらしいから会わなくて良かった。
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