狂骨
喪女は死んでも喪女なんだなぁ。と思った昔話。
その昔、福島県に「狂骨」という妖怪が出たそうだ。
「狂骨」は歩く女の髑髏であるという。
この狂骨であるが、実は名前の響きの禍々しさとは裏腹に、全く悪さをしない。
ただ「歩く髑髏」なのだという。
生前はあまりの醜さに誰にも相手されなかったが、死んで骨になってみると意外にスタイルがよかったことに気が付き、死後は自慢のスタイルを自慢するため、夜な夜なカタカタと音を立てながら一人ファッションショーを開催しているのだ。
しかしこの狂骨は、高僧とか修験者のような霊的に強い人に出会うと、その場でカタカタと崩れてただの骨になってしまう。
そしてその高僧や修験者が通り過ぎると、再びカタカタと人の形を為し、一人ファッションショーを再会するのだという。
この狂骨の好物は獣や魚の骨であり、腹が減るとこれをしゃぶるそうだ。
しかし、お盆には骨は生臭物であるからといって断食し、骨をしゃぶらなくなるという。
そういうわけで人々はこの狂骨を「なんといじらしく、慎ましい女の物の怪であろうか。」と言って特別嫌わなかったという。
喪女は死んでも物の怪になっても、低姿勢で、控えめで、慎ましいのだなぁと妙に感心した昔話。
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