水子供養公園
四月に大学付近のアパートで一人暮らしを始めて、近所を散策してたら祠が沢山あったのね。普通の住宅街に。
…で、異様なのが祠がある場所に夜に電気つけてたり、
顔のない地蔵みたいな祠(水子の祠?)に手を合わせてる妊婦とかがいたのよ。
挙句には建てたばかりの一軒家の庭に小さな祠が異物的に存在してるんだわ。
地蔵祠に面して向かうカタチで。
夜中の八時ぐらいに神社に到着した訳だけど、俺のアパート付近の神社だから皆さっきまで俺の部屋で酒飲んでたのよ。
だからテンション高いし、俺もその時は結構ノリノリだった。
…ただ、Aだけは酒を一滴も飲まなかったし、やっぱり乗り気じゃなかったから神社の向かいにある公園で待ってるって言った訳。
友人二名は文句たれたれだったけど、とりあえず…俺とその友人二名で神社に入る事になった。
(すいません…友人たちのくだりが抜けてしまってました…。面白がって俺の近所の不気味な神社に行こうという話になったのです。)
四月には桜並木が凄い綺麗な神社だったんだけど、綺麗過ぎて逆に怖かった。
で、桜並木抜けて、三人とも本殿にたどり着いたんだけど…
夜なのにぼんぼり(?)照らしてて薄気味悪いんだよ。
だから俺としては早くその場を離れたかったんだけど…
テンションたっかい二人は、神社の鈴鳴らして
「幽霊さんいるんすかぁ?」
とかあほな事言うもんだから、俺が真剣に「もう止めろよ!帰ろうぜ!」って言ってたらさ…
ぼんぼりの灯りが急にふっと消えたわけ。
俺たち大パニック。とにかく逃げようと足を動かすにも動かせない。
何かと思わず下を見たのがいけなかった。
無数の小さな子供が俺たちを取り囲んでて、一番恐ろしかったのは、顔のパーツがぐちゃぐちゃな小さいのが体にはい上ってきてた。
もう動けないは、怖いはで失禁寸前だったんだけど…
鳥居の前の大きな灯籠にAがいつの間にか立ってて「走れ!」って叫んでくれた瞬間に体がちょっとだけ軽くなって、あとは猛ダッシュ。
子供の笑い声が聞こえる並木道をひたすら走った。
友人二人もなんとかAの声で体が動かせる様になったらしく、灯籠の前で、俺と友人二人はAを前に腰を抜かしていた。
「おいA、お前公園で待ってるって言ってたじゃないか」
「お前たちがなんかやばそうだったから」
そう言ってAは苦笑いをした。
確かにAの一声のおかげで俺たちはあの場所から脱出出来た訳だけど…
なんとなく腑に落ちなかった。
次の日Aに改めて「どうして公園にいなかったのか?」と聞いてみた。
するとあの時体験した事より恐ろしい返事が返ってきた。
「公園にもうじゃうじゃいたもんだから最初から公園にも行かなかったし、神社なんか見るのも嫌だったから本当は帰ろうと思ってた」
Aが帰らなくて、本当に良かったと思った。
A曰く、俺の住んでる付近は何があったのかは知らないが、子供や水子の幽霊がうじゃうじゃいるらしい。
「お前良くあんなとこ住んでるな」
何も言えなかった。
あれから考察してみると、確かに違和感があるほど公園と神社は向かいに面している。
供養の為の公園なのかと思うと、普段何気なく遊んでる子供たちを見る度に複雑な気分になる。
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