死ねばいいのに
誰にでも「あの野郎、死ねばいいのに」と思うことはあると思う。
だけど、それが現実になってしまったら・・・。
幼稚園の時、喧嘩した男の子が翌日死んでしまったことはあったけど、ただの偶然だと思っていた。
小学校の時、理不尽は体罰をする先生がいて、僕も酷く殴られた。
「あんな先生死ねばいいのに」と思った翌日、先生は死んだ。
確信したのは、中学の時、僕をイジめていたグループのやつらが全員死んだ時だ。
僕には、死ねと思った相手を殺す能力がある。
自分が怖かった。誰にも言えなかった。
心安らかに、誰にも腹を立てないように生きていかなければいけないと思った。
それでも、高校に入ってしばらくして、僕の周りで何人かの人が死んだ。
不良グループの奴や、感じの悪い女子。
強く願わなくても死んでしまうと知って、僕はショックを受けた。
悩んだあげく、泣きながら母に打ち明けた。
母は驚いて、最初は信じなかった。
けれど、偶然にしては僕の周りで人が死に過ぎるとは感じていたようだ。
父が会社から帰宅し、父も交えて話をした。
両親とも「どんなに辛かっただろう。子の罪は親の罪だ。お前は何も悪くない」と。
言ってくれた。
思い切って打ち明けてよかった。父と母に感謝した。
その夜、僕は心から安堵して眠ることができた。
翌朝―父と母は死んでいた。
「語り手が死ねと思った相手」ではなく、「語り手を死ねと思った相手」が死んでいる。
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