ロングヘアー
夜中の駅前での話。
俺がタクシーを止めて客を待っていると、髪の長い女が手を挙げて乗ってきた。
行先を聞くと、この近くにあるお寺までとのことだ。
こんな時間に一人でお寺に行く女など少し気味が悪かったが、俺は目的地まで女を送り届けた。
心配も杞憂に終わり、何事も起こらずに女はきちんと料金を払い降りていった。
ところがホッとしたのもつかの間、タクシーを発進させると、さっきの女が凄い形相で追いかけてきた。
俺はサイドミラーを見ながら怖くなって猛スピードで女から逃げた。
女はこちらに向かって何か叫んでいるように見えた。
少し走らせて、なんとか逃げ切れた。
俺は一服しようと思い車から降り、ドアを見て後悔した。
女性の髪をドアに挟んでいた。
車が発進したときに止めてもらいたくて女性は叫んでおり、その後ドアに髪の毛が残っていたことから運転手はこの痛々しいミスに気付いた。
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